印伝の柄


数ある印伝の柄の中から代表的なものを紹介します!

印伝が素敵な点はなんといってもその模様にでしょう!
なんとなく、風情があって落ち着いています。しかも、それぞれにはしっかりとした今があり、その意味を知るとさらに良品に思えてきます。

以下に代表的な柄を説明します。

小桜(こざくら)




桜(さくら)は遥か昔の平安時代の貴族たちにたくさん愛用されていました。桜の花の華やかな美しさとともに、散り際の潔さが我々日本人の美意識とマッチしていたためなのでしょう、様々な桜の模様が考案されました。その中でも五弁の花びらをシンプルに表現した小桜模様は「花は桜木」という気風を愛する武士の間でも大変好まれ、甲冑などに多く使われました。

小桜菖蒲(こざくらようぶ)




小桜と菖蒲の柄を組み合わせた柄が小桜菖蒲(こざくらしょうぶ)です。小桜も菖蒲も戦国時代の武将に愛された柄で武将の着物や甲冑に多く用いられました。菖蒲には邪気を払い疫病を除くなどの言い伝えが古くからの伝わっていたため、厄除けの意味も込められています。

亀甲(きっこう)




平安時代から鎌倉時代に流行した柄で、正六角形の幾何学(きかがく)模様で、もともと亀の甲羅をかたどって作られたものではなく、その形が亀の甲羅に似ていることからその名が付けられました。伝統的な吉祥模様(縁起がいいと言われる動植物や物品を描いた図柄)とされていて、亀甲の中に花菱、菊、鶴などを配したものも多く見られます。

青海波(せいかいは)




元禄時代の有名な漆工である青海勘七が特殊な刷毛で波模様を描き、青海波と呼ばれるようになったという説と、祝い事に振る舞われる雅学の「青海波」の衣装の模様から取られたと言われる2つの説がある、吉祥模様(縁起がいいと言われる動植物や物品を描いた図柄)です。また、末広がりに広がっていく様子から縁起の良い柄として広く愛されています。

菊(きく)




菊の花はその形から太陽に例えられ「日精」(太陽の精)と言われ、悪霊を払う意味がありました。また、菊を浸した「菊水」を飲むと長寿が保てるという言い中国の故事から薬草としてとらえられ、不老長寿の象徴となりました。また、天皇家の紋章となったのは鎌倉時代と言われています。

紗綾形(さやがた)




江戸では紗綾形(さやがた)、京都では綸子(りんず)と呼ばれていました。桃山時代に中国から輸入されて絹織物・紗綾に多く見られた模様のため紗綾形と呼ばれています。もともとはヒンドゥ教から伝わる柄だと言われています。

ひょうたん




ひょうたんは中国では子孫繁栄の象徴とされてきました。ひとつひとつのひょうたんの実から取れる種は百娘ありと言われ、百子を意味すると言われています。日本では子どものお守りとされています。それは、中空のひょうたんには神霊が宿るものとして古くから考えられてきたからです。今でも産着の背守りを形どった布を縫い付ける風習が残っています。

トンボ




トンボは「蜻蛉」(かげろうともあきつとも読むようです。)とも「秋津虫」とも言われてきました。古くは弥生時代の銅鐸(どうたく)にも描かれており、平安時代にはその生命のはかなさを陽炎に例えられ「蜻蛉」と呼ばれるようになったと言われています。また、俊敏に力強く空中を飛び回り、決して後ろ向きには飛ばないことから「勝ち虫」と呼ばれ、戦国武将に好まれた柄です。

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